極低温科学センターとは
極低温科学センターパンフレット2022年版(PDFファイル 2.6MB)
歴史
東北大学においては、昭和27年に我国で初めてヘリウム液化機を金属材料研究所に設置し、金属や磁性体についての極低温領域における物性基礎研究において先駆的な研究業績を挙げてきた。その後、低温基礎研究の発展に加えて、工学的な諸研究も活発に行われるようになり、大量な液体ヘリウムの安定供給が可能な施設の必要性が認識されるようになった。そこで昭和46年、液化能力60 l/hのヘリウム液化機を主要設備とする学内共同利用施設「低温センター」が設立され、同時に、希釈 冷凍機、超伝導マグネットなどの低温実験装置を備えた共同利用実験室も附置された。その後、液体ヘリウムの利用は化学、 医学、薬学などの諸分野まで広がるようになった。年毎に増加する液体ヘリウムの需要に応ずるため、「低温センター」では平成5年に150 l/hの液化能力をもつ大型ヘリウム液化機を導入し、本学における液体ヘリウムを利用する諸研究の進展に貢献してきた。また、共同利用実験室に設置された実験装置は、極低温・強磁場における金属・半導体の電子局在、超伝導材料や重い電子系物質の物性解明などに特色ある研究成果を挙げてきた。 一方、「理学部附属極微少エネルギー物理学実験施設」では、専用の30 l/hのヘリウム液化機を設置し、独自に開発した超低温生成技術、及び新しい物性計測技術や単結晶育成技術を研究手段として、極微少エネルギーの関与するヘリウム物理学や重い電子系をはじめとする強相関系新物質が示す超低温領域での物性観測等に先端的研究成果を挙げてきており、極低温物理学の研究分野における更なる展開が求められるようになっていた。
発展
本学における極低温科学研究の新たな飛躍を期して、平成8年度に「低温センター」は「理学部附属極微少エネルギー物理学実験施設」と統合し、「極低温科学が関わる学内の広範な研究分野を支援するとともに、極低温利用技術を開発しながら、極低温科学に関わる基礎・応用研究を推進する」ことを目的とする学内共同教育研究施設「極低温科学センター」として新たに発足した。本センターは、片平地区の研究支援を行う「低温科学部」と、青葉山地区の支援を行う「極低温物理学部」の2分野から構成され、互いに協力を図りながら、本学における支援と研究の融合を目指すことになった。 その後本センターは組織改編により、平成18年度から研究教育基盤技術センター内の業務組織、平成29年度からは研究推進・支援機構内の業務組織へと移行してきたが、その研究支援機能は現在も多くのユーザーに必要とされている。
現在
現在、本センターでは低温科学部による片平地区、極低温物理学部による青葉山地区での液体ヘリウム供給およびヘリウムガス回収システムがそれぞれ確立し、より効率的かつ利便性のある研究支援が可能となった。これとともに学内の液体ヘリウム総利用量は年間24万リットル以上にも達するようになった。今後の更なる需要増加に応えるため低温科学部では平成21年度にヘリウム液化機を更新し200 l/hまで液化能力を向上させた。極低温物理学部においては平成23年3月の東日本大震災で液化システムに深刻な被害を被ったが、平成24年度に新しいヘリウム液化機を導入することができ供給体制はほぼ完全に復帰した。ヘリウム供給に加え、センター内の整備された装置を用いた共同研究や共同利用実験も盛んに行われている。広報活動とし、本センターの活動状況を学内外に発信するため、年に1回「極低温科学センターだより」を発行している。
センターの構成と運営
極低温科学センター(Center for Low Temperature Science)
センター長(兼):佐々木孝彦(金属材料研究所)
低温科学部
〒980-8577 仙台市青葉区片平2丁目1-1
内線(片平91)2167
極低温物理学部
〒980-8578 仙台市青葉区荒巻字青葉6-3
内線(青葉山92)6478